発売日 | 1996年12月26日(PC-98) 1997年12月4日(SS) 2000年12月22日(Windows) 2017年3月16日(PS4・PS Vita) 2019年3月14日(Switch) 2019年10月2日 (Steam) |
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ジャンル | SFADV |
企画・脚本 ゲームデザイン |
菅野ひろゆき |
キャラクターデザイン | 長岡康史(オリジナル版) 凪良(フルリメイク版) |
音楽 | 梅本竜 神奈江紀宏 高見龍 ヨナオケイシ 佐藤龍一(SS) |
発売元 | élf(PC-98・SS・Windows) MAGES.(PS4・PS Vita・Switch) スパイク・チュンソフト (Steam) |
レーティング | PC-98,Windows:18歳未満販売禁止 SS:18歳以上推奨 PS4・PS Vita・Switch:CERO:D(17歳以上) |
価格(税込) |
9,800円(PC-98) |
この世の果てで恋を唄う少女YU-NO(YU-NO: A Girl Who Chants Love at the Bound of this World)とは、élfから発売されたSFアドベンチャーゲームである。
概要
数多くの名作ADVを世に送り出したゲームクリエイター、菅野ひろゆき(剣乃ゆきひろ)が企画・脚本・ゲームデザインを行った作品。
一般的には『DESIRE背徳の螺旋』『EVE burst error』と並び菅野の代表作とされる(「菅野三部作」とも呼ばれている)。
本作はパラレルワールドを渡り歩き、そこに隠された謎を解き明かすADVである。物語は1995年の日本の架空の街を舞台とした現代編(現世編)と、異世界編(ユーノ編)の二部構成となっている。
物語の中に現実の科学、数学、物理学、哲学、宗教、歴史の深い知識、近親相姦やカニバリズム、家畜を食べることの是非など、プレイヤーの道徳的規範に問いかけ、生命倫理に深く関わるタブーに触れるテーマを織り込んだ、精巧かつ緻密に構成された心揺さぶる感動的な物語と、複雑に分岐するマルチシナリオが展開される『物語の迷宮』とも称された、膨大なテキスト量で描かれた各ストーリーラインを、わかりやすく視覚化し一目で俯瞰することが出来る、『Auto Diverge Mapping System(オート分岐マッピング・システム)』、略して『A.D.M.S(
A.D.M.Sは従来のADVにおいてプレイヤーの感情移入を阻害し、物語世界への没入を妨げる最大の障害となるとされる、主人公とプレイヤーとの視点の乖離という、難題に対してのひとつの回答であり、菅野らによる真のロールプレイングへの挑戦であった。
評価と開発経緯
本作の後世のゲーム、アニメ、漫画、小説作品への影響力は大きく、発売から20年以上が経った今日でも、しばしばADVの最高傑作として名前があがる。
90年代当時もその反響は大きく『墨攻』などの著作で知られる小説家の酒見賢一や、『動物化するポストモダン』などの著作で知られる評論家・哲学者の東浩紀らなどが、本作の構造や世界観を真剣に語って評論した。
本作に惚れ込んだ東は『ゼロ年代のエンターテイメントの予見』『元祖セカイ系』『これからもゲームクリエイターが立ち返るに値する作品』『奇跡のゲームである。そして起源のゲームである。萌えと並行世界に駆動されるマルチストーリー・アドベンチャーゲームの時代は、ここから始まる。ここにぼくたちの愛したもののすべてがある。美少女ゲームとメタフィクションを愛する全てのユーザーが、一度は必ずプレイすべきゲームである。』などと評している。
酒見賢一は著書、文庫版『聖母の部隊』の後書きをまるごと使い、『この数年の間僕がとくに面白かったSFはYU-NOである。(省略)当然ながらYU-NOはその年の日本SF大賞などにはかすりもしなかったが、僕はこの年の最良の収穫であった思う次第である。(省略)SFでは平行宇宙、パラレルワールドの概念はかなり当たり前なのであるが、いざパラレルワールドの面白さというかその秘密を堂々と書き切れたかとなると成功したSFはあまりないのが実状である。(省略)YU-NOはこの問題に挑戦している。堂々と。しかもかなり成功しているのである。パソコンゲームの可能性をさまざまと見せられたのであった。(省略)YU-NOは、自在に航海し、すべての可能なルートを体験し終えたところから、最後の隠れたルート、この作品の背骨たるルートへ抜けて、本題が始まるという、プレイ時間六十時間オーバー必至の重厚ゲームである。この点には賛否両論あるだろう。ゲームを評価する場合、操作性、シナリオやCG、音楽なども含めた上でのシステムごとの評価となる。一部を切り取ってあそこだけよかったなどということは基本的にあり得ない。全部を含めて一作品なのである。何故かと言えばシステムがそのゲームの世界観を作るものだからである。そしてSFが平行宇宙を扱う場合、突き詰めるべきと思われる根本的問題がある。YU-NOはこれまた見事につきつけていた。「世界の始まりと終わり」「時空の始源」というわけである。「アダムス」が平行宇宙とは何かをゲーム中に具体的に存分に描き出した上でのことであるから必然的説得力がある。主人公(プレイヤー)は愛する女と時空の始まり、時が植物の根のように枝分かれする以前の場所にこの宇宙の全ての根源を求めて向かうのである。これは凄いことです。最近のSFでこのような根本的問題に大上段から切り込んだものなどない。けっこうみみっちいものが多いのだ。僕だっていつかやりたいが、何しろテーマが巨大すぎて腰が引けるところである。もうSFの真骨頂のようなテーマに敢えて真正面から取り組んだSF的哲学的な志の高さには脱帽するしかあるまい。』と評論した。
この他、現代に活躍する多くのクリエーターたちも本作を称賛してはばからない。
一般でも例えば、メディアワークス(現アスキー・メディアワークス)発行のゲーム総合誌であった『電撃王』の「第2回電撃王ゲームソフト大賞」(1997年5月号)において、『サクラ大戦』『ポリスノーツ』『バイオハザード』『鉄拳2』など他の人気作品を抑え、読者投票の平均点が最も高い作品に与えられるヒートアップ賞を受賞するなど、美少女ゲームとしては異例の非常に高い評価を受けた。
本作のテキスト容量は、通常2MBほどで長めであると形容されるADVのテキストの4倍もの分量である8MBにも達し、400字詰め原稿用紙に換算して10,000枚以上、A4用紙に直して6000枚という空前絶後の規模である。
比較の一例として、これも大ボリュームの大作ADVと知られる『Fate/stay night』のテキストは、3MBを超えているが、3MBは小説に換算すると10冊分相当である。ライトノベルは、データに換算すると、だいたい1冊が0.3MBほどだと言われている。源氏物語は400字詰め原稿用紙に換算すると約2400枚相当だといわれている。
このような超巨大なボリュームを誇る本作は、エンディングに至るまでのプレイ時間は平均60時間以上が必要ともいわれ、達成率100%、個別エンディングまで含めると100時間を超すことも珍しくはないという超大作となっている。
つまり本作は世間一般では所詮、アンダーグラウンドの娯楽に過ぎないエロゲー・ギャルゲーに類するジャンルの作品でありながら、今日の日本のゲーム、漫画、アニメ、ライトノベルを核とするサブカルチャーにおいて重要な、ストーリーテリングの源泉ともなった古典であり、美少女ゲームを象徴するレジェンド、不朽の金字塔である。
本作で描かれたギミック、演劇的手法を思わせるメタフィクションを多用した演出、タペストリの如く綿密に編み込まれた物語の光と影の対比の妙は、さながら名作の条件を解き明かす支配方程式となり、後世の作品に大いに参考とされた。
講談社の文芸誌ファウストはこれを『ゼロ年代の表現をあらかじめ用意した』とまで04年に評していた。
いわゆる神ゲーであろう。
本作のプロモーションも菅野が担当し、発売の数ヶ月前に先行して各紙に見開きで掲載された、文字情報は今秋発売であること、当時としては長い奇妙なタイトルと「あなたと一緒にこの世の果てまでも・・・。」とあるだけで、宇宙空間で眠る少女の幻想的なキービジュアルが描かれたシンプルな広告は、本作の内容はまだCGすら秘されており、どのようなゲームであるかも一切秘密とされたものであったのだが、非常に印象的で市場の本作が超大作であろうという期待感を煽った。
キャラクターデザインと原画は『DRAGON QUEST -ダイの大冒険-』などのキャラクターデザインを務めた実力派アニメーターの長岡康史が担当(企画段階では横田守を予定していた)。音楽はFM音源の魔術師、梅本竜がメインで担当している。梅本は当時élf社員であったが、短期間に80曲以上を作曲するという激務から追い詰められ作曲を終わらせぬまま失踪し、消息不明となってしまったが、残りの楽曲はシーズウェアで菅野と組んで作曲をしていた神奈江紀宏と、梅本の同居者で盟友の高見龍を呼び完成させた。
高見は以前、EVE burst errorが完成した時、菅野から高見さんの違った感じの曲も聴きたいと言われたことがあり、それならと作曲して菅野に送った曲が、既に本作で亜由美のテーマ曲に使われていることを、本作の制作に参加して初めて知ったという逸話がある。
菅野は高見に開発中の本作をノーヒントでプレイさせ感覚を掴ませると同時に、足りない曲をリストアップして作曲の依頼を行った。高見はélf社屋に寝泊まりしながら、残された膨大な数の曲の作曲を進めたが、梅本が失踪したとしても、これは彼の仕事であり自分は梅本に曲調を似せたとして、クレジットには自分の名を残さないように述べてPC-98版の完成をもって去ったが、のちに高見が知らぬ間にSS版でクレジットに記載されることになる。
高見の曲は『有馬亜由美』『帝都』『緊張』『Ending』の計4曲であるが、その証言から推察するにその他の曲にも関わったものと思われる。
本作のエンディングだが、高見は大凡の尺を測って、曲のテンポや構成を決定し、菅野がスクリプトを調整しながら「その場で作っていった」旨を高見は述べている。
本作の楽曲は80曲を超えるがこれもADVの楽曲数としては通常の3、4倍ともいわれ異例であった。
また本作の制作には当時黄金期と呼ばれた、まさに全盛時代のélfの最高のスタッフたちが結集し、菅野の壮大な構想を現実のものとした。一例としては後に『うたわれるもの』の脚本で知られることになる菅宗光もスタッフとして制作に参加している。
同社のトップであった蛭田昌人も本作の制作指揮を菅野に全面的に任せ、同社の取締役というその才能を遺憾なく発揮させることが可能な権限を与えていた。
当時のélfは、『同級生シリーズ』や『ドラゴンナイトシリーズ』などのヒット作に恵まれ絶好調の波に乗っており、ファイナルファンタジーで知られる、スクウェアにも並ぶほどの巨大な収益を得て、まさにアダルトゲーム業界の覇者であった。
菅野は通常、ゲーム制作において、シナリオライターとプログラマーは両立出来ないのが常識とされるが、それまではプログラマーも兼任しており、まずストーリーボードを作り、字コンテを起こし、グラフィックの発注を行い、それと並行してプログラムとスクリプトの制作も行い、ゲームの基本的なシステムを構築すると、その箱(アドベンチャーゲーム・エンジン)を動かしながらシナリオを書き、スクリプトコマンドが足りなくなっていくと、また新たなプログラムとスクリプトを作り直しては、シナリオを加筆していくという、非常に煩雑で即興的な並行作業を、尋常とは思えない驚異的なハイペースで行っていたが、しかしélfでは優秀なプログラマーやスタッフの力を借りることが出来たので、シナリオにもこれまで以上の力を傾けることが可能となった。
菅野は以前所属していたシーズウェアでは、ゲーム制作に4ヶ月以上の製作期間を与えられなかったところを、élfではその倍の8ヶ月もの製作期間を与えられたことに喜び、まるで気が遠くなるような制作期間だと思い「今までできなかったことをいっぱいやろう」とシステム面でも、従来の菅野のADVで採用されてきたコマンド選択式の他にも、海外の本格的ADVではみられるが、制作には膨大な手間がかかり開発力のある会社のみが手がけられるとされる「ポイント&クリック式」を採用するなど挑戦的なゲームデザインを行った。
本作はゲームファンの間では国内最高峰のポイント&クリック式ADVであるとも記憶されている。当のélfでさえこの規模のものはその後二度と作ることは叶わなかった。
しかし制作開始から5ヶ月を過ぎた頃、このままでは納期に間に合わないという判断に至り、本来は現代編を20時間から30時間ほどプレイ時間に抑え、現代編は異世界編への大いなるプロローグに過ぎず、異世界編が本編という構想であったのだが、仕方なく現代編を本編とし、異世界編をエピローグとするような大幅な軌道変更を行う決断がされた。
異世界編はA.D.M.Sどころかポイント&クリック式も諦められ、プロローグと同じ一切分岐のないコマンド選択式のビジュアルノベル的なものとなった(SS版でポイント&クリックに直される)。
その為か序盤に散りばめられた一部の伏線が回収されきっておらず、なんとなくは考察可能であるが、明確な答えは提示されていない部分もある。異世界編中でもここでシナリオの分岐があったと思われる痕跡が察せられる箇所がある。また異世界編は15時間ほどと、現代編と比べると短く早足な印象である(それでもこの時期の大抵のADVの規模を凌いでいた。例えば『DESIRE背徳の螺旋』のプレイ時間は10時間ほどである)。
この結果に菅野曰く本作の構想は予定の7割の実現にとどまったと述べ非常に悔み、一時は本作を駄作とも厳しく断言したが、ユーザーたちからの様々な好評の声を聞き納得はしなかったが自信を取り戻した。
ユーザーたちにとっては現世編で苦労して、なにか難しいことを達成したら、それが報われたかのように異世界編で、一挙に怒涛の展開に変わり凄い体験をしたと圧倒されるのだが、菅野としては当初の予定とは違ったゲームデザインとなったせいか、生前「わからんな」「俺はそれが駄目だと思っているのだが」と身近な者に述べいた。
本来A.D.M.Sは異世界編にも施され、さらにその異世界には過去・現在・未来があるというように三次元的に拡大されて適用される構想もあったようだ。その構想の一部は菅野の次回作『エクソダスギルティー』に活かされた。
A.D.M.Sは菅野の『ウィザードリィ』などのダンジョンRPG好きが高じて作られたシステムであった。創生期のダンジョンRPGではオートマッピングなどなく、プレイヤーが各自がゲーム画面を方眼紙に写しとってマッピングしてそれを楽しんで行っていたが、やがてユーザたちのニーズが、より簡単に遊べる方が好ましいと変化していくにつれ、自動的に地図を生成していくオートマッピングが導入された経緯がある。
菅野はダンジョンのオートマッピングがあるなら、マルチシナリオにもオートマッピングがあっても良いだろうと思いつき、オートマッピングを骨子にそこにマルチストーリーが一体となる、『最強のマルチストーリーシステム』と銘打ったA.D.M.Sを考案し、複雑に分岐する迷宮のような物語には並行世界を導入する発想に至った。
本作はこのパラレルワールドを冒険するADVとして開発が行われたが、しかしフィクションのこととはいえ、マルチシナリオにおいて本来一度きりである筈の人生の選択を、物語中の主人公が知覚出来ることは不自然である。並行世界の導入によって生じた矛盾については、主人公に「リフレクター・デバイス」というアイテムを与え、プレイヤーが物語を俯瞰して見られるように、主人公へも神の視点を与えることで解消させた。
同時に、人は古来、全てを知っており未来をも予見する知性を神と認識するが、「カオスの矯正」という設定を置き主人公の記憶を消し去ることで、完全なる超越者とは足らしめない工夫も施され、主人公を無限の可能性があるかも知れないが、先の分からぬ現実世界に生きるプレイヤーと同様の立場とさせ、主人公とプレイヤーの視点をシンクロさせた。
元々A.D.M.Sは菅野の前作『XENON【ゼノン】夢幻の肢体』でも導入が試みられていたが、ゼノンに与えられた開発期間はわずか3ヶ月しかなく、マップを組み込むとプログラムを終わらせることが出来ず導入は諦められた経緯があった。菅野は余裕さえあればEVEにもA.D.M.Sを搭載していたとも述べている。
A.D.M.Sの搭載について菅野は、誰かがいつかは思いついてやるだろうと考えていたが、やはりやるなら自分が一番最初にやっておきたいと本作への搭載が決意された。
菅野は『弟切草』を遊び、なぜA.D.M.Sが思いつかないのかと疑問に思っていたという。
このシステムを「アダムス」と呼称するかについては旧約聖書創世記のアダムとイヴの逸話に肖ったものと思われる。イヴはアダムから生まれ、その妻となったが、これは本作の主人公と娘の関係性と一致する。
またオートマッピングによりマルチストーリーの分岐が俯瞰的に視覚化され、異なる並列世界への移動を無制限とすると、ゲームが簡単になりすぎるという問題に対しては、セーブ・ロードを制限する「宝珠システム」を組み込むことで解決した。
余談だが、菅野は生前マルチサイトシステムなど、「○○システム」というのを考え、やたらと命名するのが好きだったそうだ。これにより流行りとなりゲーム雑誌の方でも、些細なことでも記事映えの為に、ここは○○システムと名付けてくださいと他メーカーに対しても要求する傾向となったという。
そして物語の並行世界については、従来のSFでの定番となっていたタイムトラベル物では、歴史を変えるためにはパラドクスが発生し、「自分を殺すためには超大なエネルギーが必要となる」「なにかしら邪魔が入る」という古典的ギミックが絡んできたが、菅野はそこに「歴史は積み重なっていく」「時間を移動するという行為は、歴史のパラグラフのひとつでしかない」という新解釈をあたえ、そのコンセプトで物語を組み立てると矛盾は起こらず、誰かが過去に遡ってなにかを行っても、その行為自体が歴史に積み重なり、分岐が一つできるだけなので、実際には歴史が改変されたわけではなく、こうすれば理論的にタイムパラドクスは起きないと考え、これを『並列世界』と名付け本作の世界観の骨子とした。
また世界観を補強するにあたり、作中で用いられる資料として数十ページにも及ぶ、現実の数学、物理学、哲学、歴史学が駆使された、とてもフィクションのものとは思えないような本格的な論文「世界構成原理に関する一考察」が執筆された。
セガサターン版、Windows版の発売、そして永き封印
PC-98版の発売後、菅野らの手によりセガサターンに移植された。サターン版はグラフィックスが描き直され、声優による音声の追加および、アニメーションムービーの追加(OPムービは激しいネタバレを含み賛否両論ある)と、家庭用に合わせて一部表現の変更が行われ演出が強化された。
PC-98版のスペシャルディスクからの追加シナリオ「それゆけ、セーレス!」が本編に統合され、SPディスクには無い新規のテキストやグラフィックも追加されている。
手に入る宝珠の数が2個追加され攻略難易度の低減が図られた。異世界編は従来のコマンド選択式からポイント&クリック式に変更された。
オープニング・ムービーの曲はヨナオケイシが作曲。梅本が作曲したPC-98版OP曲と共通の演出に対応する役割を果たしつつ、新規の映像にも対応させる意図で作曲された。
サターン版BGMの編曲は、後にエクソダスギルティーのサウンド作曲を手がけることになる、シンガーソングライターの佐藤龍一が行った。サターン版BGMはPCM音源となっている。詳細はブログを参照されたし。
尚、追加のイベント原画、CDケースの内側にある全12種類あった版権イラストは、長岡康史の他にも本作の追加シナリオ「それゆけ、セーレス!」、DESIREやEVEシリーズ、エクソダスギルティーのキャラクターデザインで知られる、アニメーターの田島直も一部担当している。菅野は「この作品をはじめて遊ばれることになる18歳未満のプレイヤーの皆様には、この作品で得た体験が10年後の人生で役立っていることを願っています。」との言葉を残している。
SS版は18歳以上推奨として発売されたが、これは18歳未満発売禁止作品ではなく、現在の基準でCDROによるレーティングのC~D(15歳以上対象/17歳以上対象)相当である。
当時の広告には「YU-NOは様々な冒険を体験できる、真の意味でロールプレイングなのです。18歳以上推奨という、より自由度の高い世界の中で、プレイヤーであるあなたは、他のゲームでは味わえない数々の体験をするでしょう。甘酸っぱくも切ないシーンに涙を流し、ときにはショッキングな場面に驚き、またあるときは不可解な謎に迷い、卑劣な悪人に対して怒り、肌を重ね合わせた女性にドキドキする・・・。少しだけ大人の冒険がこのゲームにはたっぷりと詰まっています。A.D.M.Sは、様々な可能性をあなたにもたらす、旅の道しるべなのです。美しいCGに臨場感あるBGMと音声、そして多彩なアニメーションが、この壮大なストーリーを演出します。ゲームのなかでユーノはあなたを待っています。」と記されていた。
PC版と異なりあとから修正パッチを配布出来ない家庭用のため、バグを洗い出すデバックには6ヶ月が費やされた。
あまりの膨大なテキスト量のため声優の負担が大きく収録中に交渉があり、声優のギャランティーが上げられることになり、本作がゲームにおける声優の出演料の基準を刷新させる切っ掛けになったという逸話もある。
1997年、セガサターン版の完成をもって、菅野はさらなる理想の開発環境を求めてélfを退社し独立した。
2000年には『エルフ大人の缶詰』という、様々なグッズを詰め合わせた完全限定商品の中に含まれるものとして封入された、élfが過去にリリースした旧作3本を、1枚のCD-ROMにまとめたディスク『élf Classic』として、Windows版(95/98/Me/2000対応)が発売されたが、グラフィックはPC-98版と変わらない16色のままで、サウンドの音質は明らかに劣化し、オリジナルのステレオサウンドからモノラルサウンドに変更。テキストも近親相姦を連想させる部分や、メインヒロインの年齢を*で伏字とした。PC-98版スペシャルディスクの内容の殆どや、セガサターン版で追加された新要素もなく完全版とは言い難かった。
ネット上では伏せ字を本来のテキストに戻すパッチやSS版の声優の音声をWindows版にあてるパッチ、テキストを英語に変えるパッチなどが、個人の手によって配布されているが勿論élf公式のものでは無い。
この『élf Classic』は、のちにélfファンクラブ会員のみに限定的に通信販売もされたが、ほどなくして販売終了となった。しかし同商品に含まれていた他作品は、のちにリメイク販売がされたが、本作がélfから単体で販売されることはついに無かった。
élfの公式サイトからも本作の存在は抹消され、永い封印の眠りにつくことになる。
メディアミックス
本作はメディアミックスとして、まりお金田によるコミカライズ(「Gファンタジー」連載 全1巻)や、神代創による小説化(KSS発売 全4巻)もなされた。
小説版は並列世界を一本道のストーリーに描き直し、一部オリジナル展開が見られ事象の根源には遡らないなどエンディングは大きく異なるが、概ねPC-98版に準拠した設定を守った物語となっている。
1998年から99年にかけてピンクパイナップルから『YU-NO』というタイトルでアダルトアニメ版のOVAも全4巻が発売されたが、内容はゲームでの設定とは大きく異なり、性的要素が盛々で独自設定が多数あり、意味不明な部分も多く当時ファンたちからは黒歴史扱いにされた。
しかしSS版と一部共通の声優を用いたキャラクターの再現度は非常に高く、従来のゲームユーザーを楽しまそうと意図されたのは間違いない。豊富役の某声優の怪演も一部で有名である。
OVA版スタッフ
- 原作:élf (菅野ひろゆき)
- キャラクター原案:長岡康史
- 監督:金澤勝眞(第1話/第2話)、矢越守(第3話/第4話)
- 脚本:工藤治、かついまさお、ももいさくら
- 作画監督:高橋丈夫、石原恵、瀬上幸雄、七海修、中森吉春
- キャラクターデザイン:青木哲朗、石原恵、田中雄一
- 美術監督:原優子
- 色彩設計:若菜陽子
- 撮影監督:火田杏子
- 編集:岡田輝満
- 音響監督:飯塚康一
- 音楽プロデューサー:横山光則
- 音楽:CUE
- 制作プロデューサー:岩見一伸
- 制作担当:小山雅弘
- プロデューサー:大宮三郎、織賀進
- アニメーション制作:PPプロジェクト(全話)、STUDIO玉椿(第4話)
- 制作:ピンクパイナップル
OVA版各巻リスト
- 第1巻「誘惑する事象たち」1998年10月23日
- 第2巻「不連続体のコンチェルト 」1999年1月22日
- 第3巻「分岐点のシンデレラ」1999年6月25日
- 第4巻「世界の果てで女神は唄う」1999年9月24日
2019年6月28日、全4話をDVD1枚に収録したYU-NOゴールドディスクが発売された。
OVA版テーマ曲
「VOICES」(第1話・第2話)
作詞 - 六ツ見純代 / 作曲・編曲 - 坂本昌之 / 歌 - 園崎未恵
「FACES」(第3話・第4話)
作詞 - 六ツ見純代 / 作曲・編曲 - 坂本昌之 / 歌 - 園崎未恵
フルリメイク版
本作はサウンドも秀逸でゲーム音楽史の中でも特筆に値する誉れ高い評価のものであったが、メインの作曲家であった梅本竜は2011年に惜しまれつつも逝去してしてしまった。
フルリメイク版はこの梅本の親友であったMAGES.の浅田誠が梅本の「まだYU-NOでやり残したことがある」という意思を継ぎ、企画・制作総指揮を行い実現されたものである。
本作は上記にあるようにゲーム業界屈指の神ゲーとして名高い作品であったが、菅野の生前、élfとの双方で権利関係の闘争があったのかは不明だが、まるで腫れ物同然の扱いで、2000年に一度Windowsに限定版として移植されたきりであり、現行ハードでは遊べない状態が続いていた。
élfでは版権の所在すら自社にあるかも不明で、開発者たちも既に去り作品を分かる人間が誰も在籍していないこと、菅野も逝去したこともあって、本作の扱いには困っており、過去も18年間もの間に何十社からもの移植の申し出を断って来た経緯だったが、浅田、志倉の迅速な働きにより、他社も版権の取得に動いていた最中、本作の版権はélfからMAGES.へと譲渡される運びとなり、キャラクターデザイ、声優などが一新されたフルリメイク版が制作された。
新たなキャラクターデザインは『アルトネリコ 世界の終わりで詩い続ける少女』などで知られる凪良が担当した。
サウンドアレンジには生前、梅本の盟友で、オリジナルPC-98版BGMの作曲家の一人であった高見龍と、同じく梅本の盟友で、セガサターン版OP曲の作曲を担当したヨナオケイシがあたった。神奈江紀宏の曲はアレンジ版のBGMでは採用されず、代りにヨナオケイシによって新曲が作曲された。ゲーム中のサウンドはPC-98版オリジナルの物と、アレンジ版の両方が選べる。
PC-98版BGMの完全なるデジタル収録のために高見龍が協力し、エンジニアのせんたろうの手によって、実機の音源基盤の改造と中継回路の制作が行われ、作曲者の梅本竜が作曲を行っていた機種の音源ドライバーの設定、音量バランスに合わせた当時と全く同じサウンドが収録された。
アレンジ版も元の原曲の特徴を活かしながら豪華にする手法がとられオリジナルBGMとかかけ離れたものとはなっていない。
2014年12月28日、『コミックマーケット87』にて詳細を秘して新規プロジェクトであるとして一般に発表され、翌12月29日には、これがフルリメイク版であることが正式に表明された。
2015年9月19日、『東京ゲームショウ2015』にて、PS4/PSVita用ソフトとして、2016年2月18日に発売予定であるとされたが、のちに同年11月17日に延期されることを表明。しかし開発が7割まで進んだ段階で、さらなるクオリティアップが必要との判断に至り、全面的に作り変えられることが決定され、発売予定は2017年春に延期されることになった。
2017年3月16日に、PS4・PS Vitaにてフルリメイク版が発売。
本作はポイント&クリック式のADVであるが、オリジナル版ではその古典的なルールの通り画面上のオブジェクトを隈なく調べる必要があったが、リメイク版では菅野が『探偵紳士シリーズ』で考案したプルーフターゲットシステムが採用され、画面のどこを調べるべきかクリックするポイントが予め表示されるようになっている。テキストが尽きたクリックポイントも灰色に表示されるようになっており、画面の探索の際にフラグ立てに迷うことが無いように配慮されている。これによりSS版よりも遥かに攻略難易度の低減が施された。
石棺のロジックパズルの回答を表示する機能もオプションで追加。Switch版では更なる操作性の改良が図られ、次にどこに行くべきか、アイテムがどこで得られ、どこで使うべきかナビゲーションするヒント機能もオプションで搭載。これら豊富な補助機能によってプレイ時間は従来の10時間以上短縮されたと言われている。
しかしゲームを進めることには然程関係のない、お遊び的に散りばめられたお巫山戯の小ネタが簡単に見つけやすくなってしまい、ゲーム的な面白みが減ったともいえる。
初回封入特典にはPC-98版を再現した本作がダウンロードして遊べるDLCカードが付き。DL出来る期限は当初、発売日から1年後の2018年3月15日までだったが、この期限以降もDLできるよう変更されており期限はおそらく無期限だと思われる。尚、完全移植ではなく、フルリメイク版と同様の現在の倫理基準と家庭用に合わせた修正が行われている。またSS版で変更された演出や付け加えられたテキスト、PC-98版SPディスクの追加シナリオは、この再現版には加えられていない。
2019年3月14日にはNintendo Switch版が発売。攻初回限定特典には8ビット風アクションゲーム、ファミコレACT『ユーノの大冒険』ダウンロードコード&パッケージセット(説明書付き)が付属。
2019年10月1日より、スパイク・チュンソフトからSteam版が配信。日本語対応で国内での購入も可能である。
Steam版はSwitch版をベースとして開発されたと思われる。Switch版と同様にプロローグからプルーフターゲットシステムで遊ぶことが出来るようになった。演出面も口パク、目パチなどSwitch版よりも僅かであるがさらなる改善が施されている。
リフレクター・デバイスの表示方法が変更されており、「A.D.M.S」ボタンを選択しクリックして画面を切り替え、リフレクター・マップを展開しないと表示されなくなっている。これによりルートの分岐を直前に教える、リフレクター・デバイスのマッピングスイッチのクリスタルの点滅が確認し辛く不便になった。この変更は手間が増えストレスとなった印象である。
配信当初はAMD Radeon CPU搭載のPCで処理落ち、特定部分でのクラッシュが多発したが2度にわたる修正パッチで改善された。だが「Delete」キーでのテキストウィンドウの消去やロジックパズルの回答表示機能が働かないなど、まだバグが残されており修正待ちである。
価格は税抜5480円。2019年10月9日までの早期購入特典は定価の10%割引と、設定資料・イラストが掲載された56ページの電子書籍「オフィシャル・アート・ブック(言語は英語のみのpdf)」。
アートブックは購入しゲームのダウンロードと同時にSteamアプリのあるフォルダにダウンロードされるのだが、バグなのかSteamのアプリやサイト内から閲覧出来ない状態である。
閲覧方法についてはゲームのレビューに紹介しているものがあるので参考にされたし。
ISOに無料アプリ、パズルゲーム『この世の果てで恋を唄う少女YU-NO2048』も配信中。
フルリメイク版テーマ曲
OP主題歌「Recalling」
作詞・歌 - 佐々木恵梨 / 作曲 - 志倉千代丸 / 編曲 - 千葉”naotyu-”直樹
新コミカライズ版
フルリメイク版に合わせ石田総司による主に亜由美ルートを描いたコミカライズ版が、コミッククリアで連載され全2巻が発売中。
あらすじ
主人公・有馬たくやは幼少期に母を亡くし、歴史学者である父も二ヶ月前に事故で亡くしてしまった。全てにおいて活力を失ってしまった高校生最後の夏休み。
ある日、用途不明の丸い鏡とガラス玉のはまった妙な物体が入った小包が届けられる。同梱されていた手紙には父親が生きていると思わせる内容が…?!
「今夜10時に、この物体を持って剣ノ岬(三角山)へ行け」
指示に従いその場へ向かうと、謎の女性が倒れていた。
そこには学園長と謎の転校生の姿も。
瞬間、地響きとともに光に包まれる…。並列世界を駆け巡る旅が、今、始まる。
ゲームのながれ
先ず一般的なビジュアルノベルのような、物語が一切分岐しないルートを進む『プロローグ』から開始され、「見る」「話す」などのコマンドを選択し物語を進めることになる(Switch版、Steam版はプルーフターゲットシステムに変更された)。
たくやがRデバイスを入手するとプロローグは終わり、『現代編(現世編)』へと移行する。現代編ではA.D.M.Sを用い、5人いる主要ヒロインごとに、様々にシナリオが分岐していく並列世界を渡り歩いて行くことになる。A.D.M.Sは分岐する物語の筋道を視覚化し道しるべのように機能する。
目的は各分岐で発生する問題を解決し、そこに隠されている「宝珠」というアイテムを集め、失踪した父親を探し出すことである。ヒロインたちとの恋愛要素は物語を彩るエピソードとなっている。バッドエンドやヒロインたちとのエピソードを終えると、カオスの矯正の発動により主人公の記憶は消し去られ、現代編のスタート地点の三角山に戻されるため、複数のヒロインたちとの恋愛も、様々な並列世界の中の1エピソードとして自然に受け入れられるようになっている。
画面中のオブジェクトや人物の上にカーソルを移動させると、アイコンの形状が「顔」「靴」などに変化し(フルリメイク版はプルーフターゲットシステムに変更)、たくやはアイコンの形状に応じた行動をとるが、このポイント&クリック方式で、物語が先に進められるようになる条件を探しながら、分岐する各ルートを探索していくことになる。
分岐ポイントは計41箇所。「どこに移動したか」「特定のアイテムを使ったか」「どの選択肢を選んだか」「過去に何をしたか」によりフラグが立ち分岐する。エンディングは13種類あるが、異世界編に進むみ、ユーノとのエンディングを逢えるためには、この全てを見る必要はなくA.D.M.Sの達成率を100%にする必要もない。
全ての宝珠を揃える頃、分岐した物語は一つに収束し、ファンタジー世界を舞台とした、現代編の回答編にあたり最終章となる『異世界編(ユーノ編)』への移行が可能となる。異世界編ではまたプロローグのような、物語が分岐しないビジュアルノベル形式に戻り、ストーリーは一気にクライマックスへと進み核心へと終着する。
ユーノとのエンディングを終えたのちは現代編に戻ってプレイし、美月と香織を除く3人のヒロインとのエンディングを目指す。これらはオマケ的な小エピソードである。異世界編クリア後は「最強装備」という、全アイテムを所持した状態からのプレイが可能でオールクリアは容易である。
残されたA.D.M.Sのルートを全て踏破し、達成率が100%を達成すると、ある場所で「音楽室」への扉が開放されBGMが聴けるようになる。
プロローグ
(コマンド選択式ADV)
↓
現代編
(マルチストーリー・ザッピングADV)
亜由美ルート 澪ルート 美月ルート 香織ルート 神奈ルート
↓
異世界編
(コマンド選択式ADV)
↓
YU-NOエンド
(究極エンド)
↓
個別ハッピーエンド
(クリア後に現代編に戻って再プレイ)
亜由美エンド 澪エンド 神奈エンド
↓
A.D.M.Sのマップ達成率100%で、
「音楽室」への扉が開放される。
登場人物
現代編
登場人物たちが暮らす太古の謎を秘めた海辺にある街、境町に住む人々。
(原作を中心に記述。小説版、TVアニメ版も言及しているが、OVA版は声優以外は記述していない。)
- 有馬たくや(ありまたくや)
- 声:檜山修之(SS版)、千葉進歩(OVA版)、林勇(リメイク版/TVアニメ版)、中野さいま(幼年期)
- 本作の主人公。境町学園の3年生。母親とは幼いころに死別しており、その愛を知らずに育った。一匹狼を気取るがファザコンである。本人のお調子者でオチャラケた素行と相まってだが、美月との情事が噂になってからは、『歩くリビドー』『会話しただけで妊娠する』などと言われ変態あつかいである。しかし以前は、成績はトップクラス、剣道部の主将を務め活躍しており、それなりの優等生であったと思われるが、父親の行方不明からふて腐れてしまい、父を侮辱した担任教師への暴力事件を起こすなど素行の悪さと、校歌をエロテープに差し替える、転校生歓迎だと教室で服を脱ぎだすなど、わけのわからない奇行が目立つようになった。とはいえ、元来たくやは女性や友人に気配りに長けた、心優しい少年であり、正義感も強く、クズのような不良生徒とは違う。作中では自己犠牲もいとわない果敢な行動をとってみせる。喧嘩が強く頭の回転も早い。歴史、哲学、物理など高校3年生のレベルとはとても思えない博識ぶりで、かつては女生徒に隠れファンも多くいたという。幼い頃から父に仕込まれ、簡単な怪我の治療や裁縫、料理など家事全般はなんでもお手の物である。が、自分の部屋の掃除の方はもっぱら宇宙の法則に抗う亜由美に任せ、エントロピーの法則に従い散らかすに任せがちである。そんな無気力な日常を過ごしていた高校生最後の夏休み、死んだ筈の父親から手紙が届き、母の遺品だという鏡とリフレクター・デバイスを入手し、失踪した父親の姿を求め様々な並列世界を渡り歩くこととなった。
- 有馬広大(ありまこうだい)
- 声:立木文彦(SS版/TVアニメ版)、藤原啓治(リメイク版)
自己紹介:「お前の父、有馬広大だ。父と言っても胸のことではないぞ」 - たくやの父親。歴史学者としては異端視されているが熱狂的な支持者も多い。天才的頭脳に自信があるが、嫁のオッパイに抱かれる幼いたくやに嫉妬したりと子供っぽく、言動の端々から今で言う中二病に当たるかなりの変人ではないかと推察される。権威であった恩師の説を、真っ向から否定する論文を発表してしまい学界から追放されて行き場を無くしていたが、自説が大学時代からの友人の龍蔵寺幸三の関心を買い、幸三が学長を務める境町学園に招聘され研究の場を与えられた。なぜか女性にはモテモテだったようであり、亜由美からは猛烈なアタックをされ半年前に再婚した。二ヶ月前、すぐに帰って来ると出かけた遺跡の調査中に落盤事故に遭い帰らぬ人となった筈であったが…。
- 有馬亜由美(ありまあゆみ)
- 誕生日は1月9日。スリーサイズ B83-W59-H83
- 声:井上喜久子(SS版)、内川藍維(OVA版)、名塚佳織(リメイク版/TVアニメ版)
- たくやの義母でまだ20代のうら若き未亡人、たくやの初恋の人でもある。たくやが自分に恋慕していることは察しているが、たくやの前では自分のことを名前で呼び、オッチョコチョイの「亜由美」を演じて、恋愛対象ではないと思わせたがっている。たくやには母親らしいことが満足に出来ていないことを気にしているが、たくやからは逆に気遣われてしまっている日々である。広大の死に打ちのめされ悲しみにくれているが、たくやの前では気丈に振る舞っていた。しかし、亜由美が技術主任を務めるジオ・テクニクス社は、社屋拡張の名目で三角山周辺で地質調査の工事を行うが、現場では落雷による作業員の死亡事故が相次いで発生、工事の責任者でもある亜由美は、市民からの激しい抗議とマスコミからの糾弾の矢面に立ち窮地に追いこまれていく。亜由美からはまだ子供としか思われていないたくやは、彼女を真の意味で慰められずいにいた。ところがそんな亜由美の傷ついた心の隙につけこむ者が…。
- 波多乃神奈(はたのかんな)
- 誕生日は3月3日。スリーサイズB80-W55-H82
- 声:今井由香(SS版)、高塚彩葉(OVA版)、内田真礼(リメイク/TVアニメ版)
- たくやのクラスに転校して来た不思議な雰囲気の少女。成績は中の上。美少女ではあるが寡黙で感情を表にあらわさず意思の疎通が難しい。協調性に欠きクラスに友人は誰も居ない。清楚な外見とは裏腹に、腐った大人たちとの背徳行為も噂され、学園での風評は芳しくない。「底辺の間では有名人」という結城の談である。しかし、たくやの絶対絶命の危機の際には突如として現れ、まるで超常的な力を持ち並列世界で起こったことですらも知っているかのような言動である。一見クールなようなのだが…。たくやは何故か彼女に親しみを覚え「神奈チャン」と呼ぶ。TVアニメ版では異世界へ主人公が旅立つ動機を作ったヒロインとして、原作とは異る姿に描かれている。
- 島津澪(しまづみお)
- 誕生日は5月8日。スリーサイズ B84-W60-H85
- 声:冬馬由美(SS版)、高天唯(OVA版)、釘宮理恵(リメイク版/TVアニメ版)
- たくやの同級生で、境町の市長の娘。容姿端麗で成績優秀。名家の生粋の令嬢であるが、それに驕らず皆に優しく性格も良く、お嬢様あつかいされるのも嫌う。大の歴史愛好家であり、広大の研究に感銘を受けとても尊敬している。たくやには以前から恋心を抱いているが、素直に好きと本心は告げらず、つい、たくやにだけはキツくあたって怒ったり、すぐに叩いたりしている。ツンデレという概念が浸透する以前、ついその概念に完璧に合致する姿で誕生を果たした、パーフェクトなツンデレキャラである。
- 武田絵里子(たけだえりこ)
- 誕生日は7月7日。スリーサイズ B96-W60-H87
- 声:久川綾(SS版)、園崎未恵(OVA版)、小林ゆう(リメイク版/TVアニメ版)
- 境町学園の校医でたくやの担任でもある。PC-98版SPディスクでの公式の愛称は「えりりん」。欧州帰りの才媛だが少しだけドジな一面もある。日本の常識には疎く、たくやが最新の流行だと吹き込んだせいで、数年前に流行ったボディコンTバックに白衣という、わけのわからない格好をしているが本人はいたって平気のようだ。セットをしていないボサボサの髪型で表情を隠し常にタバコを咥えている(TVアニメ版はチュッパチャプスに変更されている)。自信を思わせる堂々とした口調で話し、問題児のたくや相手にも全くひるむ様子もなく親しい態度で接している。保健室で昼寝する時はどういうわけかベッドでは眠らず、ベッド下の床に直接寝転がって寝ているようだ。どういうわけか境町で起こった怪奇事件「タタリ騒動」の噂に非常に興味を示し、変装をしているらしいが普段にも増してド派手な格好で出歩いて、情報を集めている様子で「なんここ」な姿が街で不審に目立っているのだが謎…。
- 一条美月(いちじょうみつき)
- 誕生日は11月22日。スリーサイズ B87-W58-H89
- 声:佐久間レイ(SS版)、奥田香織(OVA版)、大西沙織(リメイク版/TVアニメ版)
- 龍蔵寺の秘書。妻帯者である龍蔵寺に実らぬ恋心を抱いている。亜由美よりは年下であるらしい。非常勤講師として知り合ったたくやと、心の隙間を埋めようと肉体関係を持っていた時期があった。たくやとの情事を澪に目撃されて以来、澪からは目の敵にされているが、たくやとの間の恋愛関係は一応終わっており、歳の近い姉弟か仲の良い友人のような間柄である。YU-NO公式ガイドのキャラクター相関図によれば澪のことは嫉妬の鬼だと思っているらしい。最近謎の頭痛に悩まされているようだ…。
- 龍蔵寺幸三(りゅうぞうじこうぞう)
- 声:大塚明夫(SS版)、楠大典(リメイク版/TVアニメ版)
- 境町学園の学長。広大とは大学時代からの友人で、彼を境町学園に招いた人物であり、共同研究者でもあった。美月と亜由美の恩師でもある。前の学校でいじめを受けて相手に反撃し理不尽な扱いをされた、たくやを学園に受け入れた人物でもある。妻とは別居中らしい。二ヶ月ほど前に学園にほど近い築400年という武家屋敷に移住し、以前は嫌煙家であったが葉巻を愛煙するようになったり、年のせいとのことだが物忘れが多く以前のことを思い出し難い様子。まるで人が変わったかのようでもある。三角山でのあの日の夜、突如、亜由美を人質にして、たくやに拳銃を向けたりと不穏極まりない存在である…。
- 朝倉香織(あさくらかおり)
- 誕生日は12月23日。スリーサイズ B85-W58-H83
- 声: 根津美智子(SS版)、安達まり(OVA版)、前田玲奈(リメイク版/TVアニメ版)
- 報道番組「ニュース・プレゼンス」の人気ニュースキャスターだが、裏の顔は産業スパイ同然という女性。プライベートの彼女は、いつもTVで見せている知的で物静かな姿とはかけ離れた奔放で気さくな印象。ジオ・テクニクス社の保有する機密情報を盗み出してライバル企業に売り、超念石は龍蔵寺に売り払うことを画策中。過去に広大とも肉体関係にあった。たくやにとっては時に協力的にも敵にもなる危険な女性である。
- 豊富秀夫(とよとみひでお)
- 声:三木眞一郎(SS版)、三木眞一郎 (OVA版)、江口達也(リメイク版/TVアニメ版)
- ジオ・テクニクス社社員。亜由美の直属の部下で、海岸工事の現場監督を務める。一見好青年風だが上に媚びへつらい、下には尊大というしょうもなく嫌味な性格の小悪党。自分の美貌にも自信があるらしい。偉そうだが肝心な時には亜由美に責任を押し付けて逃げ出す。上司の前では良いカッコしてポイントを稼ぐ策略家。亜由美からは何でもそつなく仕事をこなす部下だと思われている。滲み出されるそのクズさぶりに、たくやはAV監督、無能な手下Aなどと呼んで嫌悪感を隠さない。TVアニメ版ではゲーム版より多少愛嬌があり、それほど憎々しく思えない。
- 結城正勝(ゆうきまさかつ)
- 声: 岩永哲也(SS版)、藤原祐規(リメイク版/TVアニメ版)
- 境町学園の二年生。界王様風の脱力ギャグと情報収集が得意。たくやが望みもしていないのに自称一の子分になった。不良たちに絡まれていたところを、たくやに救われて以来とても慕い、たくやが部長を務める剣道部に入部。たくやが剣道部を辞めてからも「部長」と呼んでいたが、たくやが部長と呼ばれるのを嫌がり、呼び方なんてどうでもいいと述べてから、「たくやさん」→「社長」→「親分」→「オヤビン」などと巫山戯て呼ぶことが多くなり、たくやに嫌がられても「オヤビン」呼びを止めない。たくやに付きまとっているがホモというわけではなく、澪に想いを寄せており、澪の剣ノ岬の調査を手伝っている。TVアニメ版はスタッフにヒロインと呼ばれショタっぽい雰囲気にされており、たくやを小馬鹿にした感じもなくフルリメイク版での演技とも異なる印象である。
- 女守衛
- 声: 西村ちなみ(SS版)、山本彩乃(リメイク版/TVアニメ版)
- ジオ・テクニクス社表門の警備小屋に常駐する警備員。たくやをボクと子供あつかいして、なにかと侵入を邪魔する。彼女は攻略対象のヒロインでは無いが印象的で本作のファンからは可愛いとの定評がある大人気キャラである。実はちゃと真里奈(まりな)という名前があってセガサターン版でもそう表記されていた。オリジナル版のキャラクターデザインは田島直。オリジナル版では意図的だったのであろうが、EVEシリーズの同名の女性主人公の姿にソックリ似せられていた。かつてélfが開設していた本作の作品紹介のホームページの中でも、「女守衛の真里奈よ。同じ人が描いてるんだから、しょうがないじゃない。」とメタ的にその名がパロディにされていた。
- 北条篤(ほうじょうあつし)
- 声: 青野武(SS版)、上田燿司(リメイク版/TVアニメ版)
- 広大の行方を探し、神奈がリフレクター・デバイスを隠し持っていると疑っている幸三からの依頼で、その周辺を探っている興信所の探偵。しかし探偵と呼ばれるのは嫌う。しつこく神奈につき纏い金銭で肉体関係を持ち、神奈のパトロンの一人となった。気が小さい小物だが突然豹変し、まるで理性がないかのような常軌を逸した行動をとることも…。
- 龍蔵寺梅(りゅうぞうじうめ)
- 声:鈴木れい子(SS版)、伊沢麿紀(リメイク版/TVアニメ版)
- 幸三の母。武家屋敷で息子と暮らしている。痴呆症を患っているとのことだが、たくやには助言を与えボケているようには思えない。ゲームでは突然現れるので「どわっ!」とビックリさせられる。こう見えて結構お茶目な性格のお婆ちゃんである。本作の作曲家の梅本竜がモデルだというオリジナル版の関係者の証言があった。TVアニメ版だと土蔵の鍵や手記の謎が描かれなかったので意味不明なキャラに。
- 島津市長
- 声:柳沢栄治(SS版)、芳田正浩(OVA版)、蓮岳大(リメイク版/TVアニメ版)
- 澪の父親で境町市長。ジオ・テクニク社に便宜をはかっている。趣味はショットガンの収集。悪い虫には発砲も辞さないほど澪を溺愛している。どういうわけか澪パパから逃げる時だけに使用される専用BGMも用意されている。
- 有馬恵子(ありまけいこ)
- 声:星野千寿子(SS版)、遠藤綾(リメイク版/TVアニメ版)
- たくやの実母、広大の前妻。戸籍を得て改名する前の名はケイティアといった。たくやの幼い頃に死去。盲目だが不思議な力を感じさせ目の不自由さを微塵も感じさせなかったという。透き通るような白い肌と金色に輝く髪、オッパイが大きな若々しい少女のような女性だったようだ。境町に最も古くから居る住人といわれ、武家屋敷で一人ひっそりと暮らしていた。
- 今川由利香(いまがわゆりか)
- ACU大学教授。数理学の権威で物理学と歴史学の博士号を持つ異才。専門は理論と応用物理学。まだ20代という若き才媛。量子力学をベースとした統一理論を探求し森羅万象の真理解明を試みていた。境町の地場と重力場が剣ノ岬を中心に異常に傾いている状況に着目し、広大、幸三らと共に境町の隠された秘密を研究していたが行方不明に。その論文に思想界、物理学会を騒然とさせた『世界構成原理に関する一考察』がある。事象素子理論による並列世界の構成原理を説いた。ゲーム中では生前の姿は描かれていなかったが、TVアニメ版では眼鏡の美人。
- 子犬
- 声:川上とも子(SS版)、?(リメイク版)、中野さいま(TVアニメ版)
- 当時まだ新人声優であった川上とも子さんが演じられた、神奈と明雲寺公園で戯れたワンコ。川上さんは、このあとの異世界編でも本作の印象的なキャラクターのクンクンを演じられましたが2011年に逝去され、奇しくもその死を追悼されておられました原作者の菅野氏、音楽を制作された梅本氏共に同年帰天されました。この年は本作ファンにとってもとても悲しみの多い年でした…。
- 配役は不明ですがSS版には川上とも子さんと共演する機会も多かった、まだデビューされて間もない川澄綾子さんも収録に参加されています。
異世界編
Rデバイスの真の力を開放させたたくや。ところが広大に近づくどころか謎の異世界に投げ出されて…
- セーレス
- スリーサイズ B84-W57-H88
- 声:高橋美紀(SS版)、七緒はるひ(OVA版)、真田アサミ(リメイク版/TVアニメ版)
- たくやが異世界で最初に出会った人物。少し恥ずかしがりやで、ほんわかとした柔らかな空気を纏う美少女である。しかし口で話すことができず(ファミチキください)、たくやは身振り手振りで彼女との意思の疎通を試みた。セーレスという呼び名は、彼女の名前を聞き出すのにたくやは「あいうえお」の五十音順を1音ずつ発音しては、彼女の反応を確かめて訪ねながら、苦労して聞き出したものである。キャラクター名のCelesは英語の「Say less(多くを語らない)」を語源としたと思われる。しかし彼女の真の名は「ケアレス」といい、これはたくやの聞き取りミスのせいなのか、彼女が敢えて本名を伏せたものなのかは分かっていない。「Careless」にはうっかり者という意味がある。のちに二人は惹かれ合い、娘のユーノが誕生した。ユーノとはテレパシーで会話が出来たようだ。実は現代編でも三角山の地下洞窟に現れ、たくやを導き(TVアニメ版ではたくやの母の有馬恵子に変更)、たくやはセーレスをボーダーへと導いた(TVアニメ版ではマザーに強制転移された)。TVアニメ版では自害の方法が異なるり、ゲームで印象的であった最果ての崖に墓を作り復讐を誓うくだりは無く、兵士がその死体をわざわざ持ち帰っているが、なんの伏線にもなっておらず演出意図が不明であった。TVアニメ版では扱いが軽くなり原作との差異が最も激しいヒロインだったといえる。
- ユーノ
- スリーサイズ(成体)B86-W58-H86
- 声:こやまきみこ(SS版/OVA版)、小澤亜李(リメイク版/TVアニメ版)
- 本作のメインヒロインにして最大のキーパーソン。この世の果てで恋を唄う少女。金髪碧眼のエルフ耳をしたパパ大好き娘。たくや夫婦の愛情を受けて育ち、元気で天真爛漫、賢くも心優しく無邪気な美少女に成長した。本気でボケるところが欠点。オリジナル版ではアホ毛が2本、フルリメイク版では1本になっている。ちなみにセガサターン版は同役の声優だった、こやまきみこさんの声優デビュー作となり、当時まだ18歳であった。本人は神奈を希望したそうなのだが断られ、メインヒロインに大抜擢されたという。その名はたくやがセーレスに「You Know?」というと、セーレスが微笑んだことで名付けられた。これは菅野が得意としたメタフィクションの一例であり、プレイヤーに向けて「あなたは(彼女をプロローグで見て)知ってるよね?」と問いかけたものである。開発段階では「フェリシア」という名だったが上記の演出でその名に変更されたと思われる。TVアニメ版では原作の演出意図は汲み取られず、セーレスが名付けたことに変更された。また12歳相当の幼年体の年齢を16歳とする変更や、成体モードでは正体を隠す為か初期設定案にあったような仮面を被せられ、コスチュームも鎧は纏わずリメイク版とも異なっている。セーレスの人格がユーノに宿り、一人芝居をするようなシーンが見られるがこれもアニオリである。
- アイリア
- スリーサイズ B84-W60-H88
- 声: 勝生真沙子(SS版)、坂井恭子(リメイク版/TVアニメ版)
- 辺境で防人としてボーダーの外からの怪物の侵入を防いでいる銀髪の女性騎士。病に侵されており余命は残り僅か。ファンタジー世界の美しく気高いエルフの戦士といった感じの女性である(くっころ)。オリジナルデザインではダークエルフ味があったが、フルリメイク版は肌の色が明るい色に変更されている。異世界に混乱し焦燥するたくやとセーレスを保護し優しく見守った。巨大な怪物から躊躇なくセーレスをその身で庇い大怪我を負ってしまい以降は寝たきりとなり、たくやに後を託して逝った。
- クンクン
- 声: 川上とも子(SS版)、鯛ゆみ坊(リメイク版)、長久友紀(TVアニメ版)
- たくやが森で出会った、瀕死の状態で倒れていたエルフ耳で背中に翼の生え、テレパシーで語りかける不思議な女性から、たくやに自分の子供だと懇願され託された小さなドラゴンのような生き物。クンクンと鳴くことから、ユーノによって命名。辺境では忌み嫌われるノガルドという、ラファエロ砂漠周辺に住む種族である。ノガルドは言語を理解し、神や創造主の概念をも理解する高度な知能を持つ。クンクンの母にも名前があるが、たくやたちの理解出来る言語レベルを超えており、聞き取ろうとすると強烈な頭痛に苦しめられた。デラ=グラントでは害獣とされており、肉は美味いとされている。脱皮をして成体になると人形になるが、PC-98版では人間そのものに翼を付けただけのデザインであったが、SS版からは頭に角や尻尾が追加された。フルリメイク版はドラゴン娘のようなコスチューム(?)になっている。種族名は「DRAGON(ドラゴン)」の逆読みである。TVアニメ版では、クンクンの首にチャームポイントとして赤いバンダナが巻かれ、ノガルドは家畜とされた。その死は原作ではアマンダが薄々分かっていたがたくやには秘し、本人も覚悟のうえでの衰弱死であったが、TVアニメ版ではアマンダがトドメを催促して、たくやが殺したように変更されるなど、ゲームとの状況の違いが大きい。前後の演出から考えて果たして死ぬ意味があったのだろうか…。
- サラ
- スリーサイズ B90-W59-H84
- 声: 高田由美(SS版)、土井真理(リメイク版/TVアニメ版)
- オアシスで水浴びをしているところを、たくやが神帝の近衛兵の一味だと誤解して襲いかかってしまった女性。アマンダとも友人。かなりの男好きでお茶目な性格である。とはいえ本人が口で言うほど男性経験豊富ではないのをたくやに見透かされた。わがままボディでショートカットの金髪エルフという色っぽいルックス。セガサターン版では夜にHっぽいことが起きそうな大人な時間なイベントでは、普段の長岡さんの原画から突如、自然な流れで、田島直さんの健全な原画に差し替えられるのだが、はて?18禁版では一体何があったのであろう…。傷心のたくやを慰めてくれる女性である。TVアニメではゲームでの慰め役から裏切り者に役割が180度変わった。ピッキングのスキルなどもアニオリである。演技指導の差なのかフルリメイク版とかなり違った調子の甲高い声で話す。
- アマンダ
- スリーサイズ B83-W59-H83
- 声: 川田ゆう子(SS版)、井上麻里奈(リメイク版/TVアニメ版)
- レジスタンスの闘士でそのリーダー。アイリアの妹。収容所に囚えられて拷問され死にかけているところを(くっころ)、たくやが介抱して一命を救った。自分のことを「俺」と呼ぶ、男勝りで飄々としたボーイッシュな女性である。冷静沈着で理性的なアイリアとは正反対でノリの良いお調子者な性格。頑固で思い込みが強い。以前囚えられていた時に付けられた、拘束具の一部であった左腕の鉄の腕輪は、神帝に反抗するレジスタンスの誇りと思い外さない。たくやに介抱された以降はたくやがアマンダを治療するときに、たくやが自分の上着を裂いて作った包帯だと思われる布で顔の右側を覆い隠している。オリジナル版では右頬に怪我を負っているが目を負傷したかは分からない。ちなみにオリジナル版での初登場シーンでは、左目の方を髪の毛で隠していた。SS版の版権イラストでは両目が描かれているものがあり、それで他の女性たちに負けない美貌の持ち主であることがわかる。フルリメイク版では初登場シーンから右目を包帯で覆っている。現代編でも、その姿だけであれば確認出来る。強い意志と最後まであきらめないその姿勢は、たくやも知るある人物を思い起こさせる。オリジナル版では浅黒い肌をしていたが、フルリメイクでは明るい肌色に変更されている。たくやと一緒に旅をするにつれ、たくやを愛するようになった。TVアニメ版では右目にバズクの鞭の破片が刺さり目を負傷してから包帯が巻かれた。フルリメイク版のデザインよりも華奢な体型にされ、右腕には腕輪の代りに赤いバンダナが巻かれている。
- 悪漢所長
- 声:玄田哲章(SS版)、佐藤美一(リメイク版/TVアニメ版)
- 収容所の所長。正確には第8採掘所所長という。神帝に逆らう政治犯が多く収容された強制収容所の責任者である。小説版とTVアニメ版では「バズク」という名を持つ。囚人たちに巫女の儀式で用いる石棺のために聖なる石の採掘を行わせている。陰険で残忍な性格。過酷な処遇にも絶対に屈服しないたくやに憎しみをつのらせ、死の瀬戸際まで折檻を続け、たくやを昼間は気温60度から70度の灼熱地獄、夜は氷点下の極寒地獄という懲罰房に放り込んだ。ハート様のような言葉遣いで話す。しかし下衆極まりないブタである。TVアニメ版ではクズ度と凶悪性はかなりマイルドのされ、ユーモラスでオカマっぽくなっている。たくやの尻の穴を調べるのはアニオリである。原作では危なくなると、部下の護衛兵たちやたくやたちを置き去りにして、一人で逃げてしまうような真正のクズだったが、アニメでは職務に忠実であったり、アニオリの電気警棒を武器に、たくやと戦ったりと原作とはキャラクターが大きく異なる。バズクとの戦いのラストはプロジェクトAで観たような光景が…。
- 側近
- 声:山内 健嗣(TVアニメ版)
- 神帝の側近。キャラクター名の無いTVアニメオリジナルキャラクター。小説版の近衛兵の隊長「ゲイレン」に相当すると思われる。
- エィッリィククワッドゥロッウ
- 次元監査官の女性。デラ=グラントとも異なる高度に科学が発達した異世界から来た。どう見てもやたらと厨二病全開くさい未来人のような格好をしている。亡き恋人アーベルの敵であるA級次元犯罪者****を追っている。 次元監査官とは、彼女の属する世界の法に照らし合わせて、並列世界の秩序の維持を目的とし、その秩序を破壊する、次元犯罪者とされる者の逮捕取り締まりを任務とする者である。基本的に他次元への干渉は、彼女の属する世界をも揺るがしかねない事態となるため禁じられている。彼女の身体の中には次元移動装置のような機構が埋め込まれており、時刻が来れば自動的に元いた世界に戻される仕組みとなっている。彼女の「Aichlikkwadrou」という名称は、正確な名は、たくやの世界が保有する言語レベルでは、発音・表記は不可能なためそれに近い呼び名として発音されたものである。彼女の属する世界では博士号を3つも持つ才媛であり、教師でもあったらしい。TVアニメ版ではチャームポイントの胸の十字架は描かれず、事象科学の解説が簡素で意味合いも変えられており、中二っぽさはかなり薄れている。だいぶんドジにされている。
- アーベル
- 声:KENN (TVアニメ版)
- たくやの世界よりも遥かに高い次元に位置するある異世界は、高度な事象科学を発達させていた。次元移動装置の研究者であったアーベルは事象科学でも謎であった事象の根源を解明するべく、精神を次元の狭間から事象の根源に向かって飛ばす実験を行った。しかし、次元の狭間には何万年も前から潜む邪悪な思念体が漂っていた。思念体はアーベルの精神が事象を遡っていることを知ると事象素子の波を潜り追跡をし、ついにはその肉体を奪った。アーベルの精神は次元の狭間から自身の身体には戻れず事実上死亡したとされる。思念体はアーベルとして生活を始めるが、恋人であったエィッリィククワッドゥロッウだけは騙すことが出来ず、思念体は正体が知られると次元移動装置を奪って別次元に逃走した。ゲーム中では容姿は全く分からなかったが、TVアニメ版では若い男性として描かれている。アニオリでの活躍が凄まじい…。
- カーツ
- 声:藤原祐規
TVアニメオリジナルキャラクター。収容所でたくや出会った囚人。レジスタンスのメンバー。ゲームでたくやに親切で応援していた気さくな作業者Bの代りと思われる。たくやを「オヤビン」と呼んで慕う。裏切らない結城か…。 - デオ
- 声:江口達也
TVアニメオリジナルキャラクター。収容所でたくや出会った囚人。レジスタンスのメンバー。全くクズでない綺麗な豊富か…。 - ジョウ
- 声:大泊貴揮
- TVアニメオリジナルキャラクター。収容所でたくや出会った囚人。たくやを殴り倒して弱肉強食の掟を教えた脳筋。デザインはリメイク版でたくやと衝突した作業者Aが元になっていると思われる。アニオリエピソードでアニオリ死した。
- アッシュ
- 声:上田燿司
- TVアニメオリジナルキャラクター。レジスタンスのメンバー。現世編の北条に似せている。ちなみにゲ原作ではレジスタンスは殆ど殺されており、帝都のアジトも壊滅させられてメンバーはアマンダ一人っきりである。余談だが、TVアニメ版は原作ゲームでは極悪極まりないクズとして描かれ、プレイヤーの憎悪を掻き立てた悪役を、割と憎めないコミカルなキャラに変えてしまうのだが、アッシュは比較的原作に近かった北条の救済キャラなのかもしれない。というかそうであろう…。
- アイ
- 声:木野日菜
- TVアニメオリジナルキャラクター。アイちゃん。デラ=グラントの昔話をする人工知能。異様にテンションが高く道化のように振る舞っていた。一人称は「僕」。幼い少女のような外見。あざとい…。5chのYU-NOスレなどでは「哲子」と呼ばれていた。
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- デラ=グラントの支配を目論んだが失敗し、帝都の地下に幽閉されていた初老の男性。なにか他にも大きな陰謀を企んでいる気配。その真の正体と目的とはいったい…。セガサターン版ではその真の名は「ウィジィゾゥジィ」というような奇妙な発音がされていた。幻魔大戦さならのスタンドみたいなものを出してみせたり、その本性は尋常な存在ではあるまい。TVアニメ版では下記のキーワードに詳しく述べた「彼女」についての言及が無く、悪役としてはマイルド化されアニオリ要素が凄まじいキャラとなっている。
- 神帝
- デラ=グラントを統べる姿を見せない謎の支配者。たくやは愛する者の復讐を誓い帝都へ向かったが…。
- TVアニメ版では異世界編の序盤から姿を見せる支配者である。まるでブレンパワードのバロン・マクシミリアンのオマージュかのように、仮面を被せられ変声機で声を加工して正体が分からないようにされている。ニコニコ動画でのTVアニメ版の放映においては「ギガゾンビ」というコメントが投稿されることがある。
- グランティア
- 声:甲斐田裕子
- デラ=グラントの女神、デラ=グランティア。地球先住民の科学者のリーダーであった女性。TVアニメ版では独自のキャラクターデザインとなり、CVが付き、自律的な意志を持つ存在として描かれている。SFでは機械が人の魂でもって命を得て意志を持つという古典的な表現があり、おそらく本作の巫女の存在はそれに類するものであったであろうが…。
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この項には本作のネタバレを過分に含んでいるので未プレーでの閲覧には注意が必要である。
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関連項目
- 菅野ひろゆき
- 梅本竜
- élf
- mages. / 5pb.
- 神ゲー
- 泣きゲー
- エロゲのタイトル一覧
- エロゲが原作のコンシューマ移植作品の一覧
- 3年B組金八先生 伝説の教壇に立て! (奈須きのこがYU-NOオマージュだと見破った逸話がある)
- 神のみぞ知るセカイ
- CLANNAD
- STEINS;GATE
- Re:ゼロから始める異世界生活
- なるほど、まったくわからん
本記事の参考書籍
- 「YU-NO完全ガイド この世の果てで恋を唄う少女」
- 「ファウストvol2 講談社 Mook 2004」
- 「菅野ひろゆき メモリアルTributeBook」
- 「東浩紀 動物化するポストモダン オタクから見た日本社会」
本作のフルリメイク版を原作にTVアニメ版が制作され2019年4月から放送された。
詳細は別記事「TVアニメ版この世の果てで恋を唄う少女YU-NO」を御覧ください。
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