「最終平和兵器。僕らは、もう、引き返せない。」
メタルブラック(METAL BLACK)は1991年にタイトーから発売されたシューティングゲームである。
Doubt Story
宇宙侵略軍ワイルドリザード。
奴らの非情な攻撃の前に、妥協と言う名の平和を選んだ政治家たち。
そのために開発の最終段階だった「メタルブラック」も、一度は闇に封印されたのだった。
そして再び、地球が死に絶えようとしているその時、闇を解き放ち「メタルブラック」が甦った!!
…というのは真っ赤な嘘である。
これは、ハードSF的なストーリーが保守的なタイトー経営陣に受け入れられない事を予想して作られた
プレゼンテーション用のダミーストーリーだった。
が、何故かゲーメストの雑誌記事にも紹介され、これが本来のストーリーであるかのような誤解が広まり、
挙句の果てにコンシューマ移植版の取扱説明書にもそのままこのストーリーが記載されてしまった。
True Story
西暦2042年。
伴星ネメシスがもたらした隕石雨によって壊滅した地球に突如現れた正体不明の侵略者「ネメシス」。
奴らの圧倒的テクノロジーの前に、地球軍は各地で敗退を 余儀なくされ、人類文明は滅亡の危機に瀕していた。
そんな絶望的な戦局の中、遂に科学者らによって敵の圧倒的かつ無尽蔵ともいえるエネルギーが
未知の空間粒子「ニュー・アローン」(通称:ニューロン)に依ることが判明する。
これに着目した軍は敵兵器システムをコピーした対抗兵器の開発に着手。
ここに人類の存亡を賭けた大反撃作戦計画『プロジェクト・メタルブラック』が発動されたのだった。
来たるべき「復讐の日」を信じ、必死の抵抗を試みる地球軍。
しかし、計画の最終項目前にあって、突如政府と「ネメシス」との間に停戦和平協定が結ばれる。
これにより、量産を控え、開発の最終段階にあった対抗兵器「CF-345」実験機2機は
基地の地下深く封印、隠蔽され、『プロジェクト・メタルブラック』は永久凍結されたのだった。
時は静かに流れ、妥協という名の平和の下、すべては闇に葬られようとしていた…。
そして、西暦2052年。正義の名の下に、一人の男が立ち上がった。
かつて「CF-345」のテストパイロットだったその男、ジョン・フォードは、
封印されし「CF-345 <ブラックフライ>」を強奪。
全てを敵に回し、プロジェクトの最終項=「ネメシス殲滅」を実行せんと、
単身、木星軌道上の敵本星へ向かうのだった。
Outline
全6面+ボーナスステージ2面で構成される横スクロールシューティングである。
敵のアルゴリズムが非常にランダム性の高いものとなっているのが特徴。
プレイヤーは自機"CF-345<ブラックフライ>"を操り立ちはだかる全てを相手に生き残る事を目指す。
自機ブラックフライは画面内を一定の規則性を持って不規則に漂う粒子、"ニューロン"を取得する事で、
5段階にパワーアップする。
パワーアップレベルは常に画面下方のゲージに表示されていて、
パワーアップレベルがLv.1以上になると、ボムの代わりとなる"ビーム"を使う事が出来る。
ビームを使うと自機のパワーアップレベルはビームに変換されてしまうので、
発動後は自機の強さはデフォルトされる。
ビーム発動中は敵キャラに対しては無敵だが、発動時間は自機のパワーアップレベルに依存し、
デフォルトまで戻るとまた一定数のニューロンを取得しなければビームは発動できない。
そのため危険性が高い箇所に向けて自機のパワーアップレベルを溜めておくプレイが必要とされる。
特にボタンの押し間違いによるビームの誤爆はもろに生存危機につながるので注意しなければならない。
ボーナスステージはパイロット視点の3Dシューティング風の画面構成になる。
ボーナスステージ中は自機が自機がホーミングミサイルモードに移行し、且つ無敵になる事で、
自機に纏わり付く敵に向かって照準を合わせホーミングミサイルを発射し無双し、
制限時間内での敵殲滅を目指す。
Gameplay explanation
レバー | ・・・ | 移動。 |
Aボタン | ・・・ | ショット。セミオート連射となっており、押し続けると連射速度が徐々に低下する。 |
Bボタン | ・・・ | ビーム。最大パワー時は普通に押すと拡散ビーム、長押しで収束ビームを発射。 |
最大パワー時以外は拡散ビームを発射出来ないので注意。
パワーアップするとゲーム内のランクが上昇し、ボスの耐久力が上がるので、
ボス戦時はレベル3にしておくと比較的楽に倒せる、Lv4が相対的に最も不利である。
ボスや一部のザコも触手や口から自機と同じようにニューロンを捕食しパワーアップする。
ボスがニューロンを捕食する順番は出現順と決まっている。
ゲームスタート時に一番最初に現れるマーカーの付いたニューロンを1ボスまで残しておくと、
1ボスはそのニューロンを一番最初に捕食する。
Beam intervention system
ボスの発射する収束ビームに自機の収束ビームをぶつけるとエネルギーボールが発生し、
連射することによってそれを敵にぶつけて大ダメージを与えられるというシステム。
だが、ビーム干渉の後は自機のパワーが最弱になる、
拡散ビームがボム代わりになるため使い勝手が良いというのもあって使う機会は基本的に無い。
後にGダライアスやボーダーダウンなどに同じようなシステムが実装されている。
Music
BGMの作曲・編曲はZUNTATAの渡部恭久 (Yack.)、
効果音は同じくZUNTATAの石川勝久(ばびー)が担当。
曲名が曲転換にあわせて画面右下に表示される事も、このゲームの特色として挙げられる。
曲はそれまでのSTGとは違った繊細かつメロディアスな音楽が特徴。
曲名はゲームのストーリーを表すメタファーのような形になっており、
ゲームの真のストーリーを知る上での手がかりにもなっている。
Ending Demonstration
6面をクリアするとTrueED、6面でコンティニューを拒否しゲームオーバーになるとBadEDとなる。
True End
WAS ITS PHANTASM
THE LAST ATTACKING
OR ITS LAST MOMENTS
AND WAS THIS FOR REAL
OR WAS I DREAMING
NOBODY KNOWS YET…
(訳)
最後の戦闘…それとも最後の瞬間。
あの時見えた幻。あれは現実だったのか、
それとも夢だったのか。
誰もまだ知らない…。
Bad End
THE DEATH OF ONE SOLDIER CAUSED
A COUP OF THE MILITARY.
TWENTY THOUSAND MASS PRODUCED
"BLACK FLY" FLEW INTO THE SKY
AREA OF NEMESIS.
(訳)
一人の兵士の死は、軍のクーデターを引き起こした。
2万機生産されていたブラックフライは全機、
ネメシスに向かい飛び立って行った…。
Console game version
コンシューマ機にはセガサターンとPS2にて移植されており、
PS2版の「タイトーメモリーズ上巻」が最も入手しやすい。
が、エミュレーションによる移植のため遅延があり、
修正された「TAITO BEST版」でもMAXビームが拡散のみしか発射出来ないというバグがある為、
更に修正された「エターナルヒッツ版」、もしくはセガサターン版が最もおすすめ。
ちなみにセガサターン版もアーケード版に比べ仔細な差はあるものの、
移植度はおおむね良好である。
Respect
本作プロデューサーである仙波隆綱は
元々「機動戦士ガンダム 逆襲のシャア」で作画監督を務めたアニメーターであり、
「ダライアスII」で取り入れたハードSFアニメ的な演出要素を本作で更に追求した。
その結果、タイトー製STGの特徴ともいえる演出重視路線を確固たるものにし、
その後のダライアスシリーズやレイシリーズの路線に多大な影響を与えたといえるだろう。
また、本作に影響を受けたSTGは数知れない。一部ながら例を上げて記載する。
- ボーダーダウン
「Gダライアス」のスタッフが独立して設立されたグレフが制作した横スクロールSTG。
作曲はメタルブラックを手がけたYack.その人だが、
グラフィックは仙波氏ではなく「サイキックフォース」のかどつかさが担当。
ストーリーもメタルブラックのオマージュとなっており、ビーム干渉システムも搭載されている。 - 東方project
タイトーから発売された「ラクガキ王国」のプログラマーであるZUN氏が作った同人ゲーム。
敵の動きや、「東方風神録」から搭載された霊撃システム、
「偽者の月」「Phantasm」といったキーワード等、メタルブラックからの影響が多数見受けられる。
また、ZUN氏本人がメタルブラックに影響を受けたという旨の発言をしており(東方書譜-2003年2月16日)
他にもCAVE製STG「エスプレイド」の影響も強く見受けられる。 - ガイアシード
非常にタイトーの影響を受けている横スクロールSTG。
どちらかと言うとメタルブラックよりも「ダライアス外伝」の影響がやや濃いか。
難易度は低いので取っつきやすいと言う面もある。
ちなみにPS用ソフトの中では有数のプレミアソフトである。
Tips
- このゲームのプログラマーである堀崇真(たらばー)が
自分用に作った「TARABAR EDITION」というものが存在するが、
全く出回っていない為、詳細は謎である。
難易度の上昇、スピードアップアイテム、楽曲、ボスなどの追加がなされ、
通常版とは大きく異なるものになっている…との事。 - ショットボタンを押しっぱなしにしていると徐々にショットの発射間隔が開いていくが、
これは砲身がオーバーヒートを起こすという設定の為とされている。
だがショットボタンを連打すれば、そんな設定とは関係無く高密度にショットを撃ち出せる。 - ボーナスステージでコナミコマンドを入力すると敵が倒しきれない程大量に増えるが、
倒しきれない為にタイムボーナスが取れず、実質的にコマンドを入力しないほうが高得点となる。 - ボーナスステージのリザルト画面の背景に居る自機をレバーで操作する事が出来るが、意味は無い。
- ボーナスステージも基本的にショットボタン連打で構わない。
ショットボタンを連打しながら敵に照準を合わす事で、照準があった瞬間に素早く攻撃でき、
敵破壊前からショットボタンを連打しはじめておく事で、索敵モードに戻った瞬間から
敵に攻撃が出来る。
上手く行けば敵破壊後にタイマーを減らす事無く次の敵を攻撃できる。 - 「太鼓の達人10」にはこのゲームを代表する楽曲である「Dual Moon」が収録されている。
関連動画
関連商品
関連生放送
関連リンク
関連項目
- ガンフロンティア -本作は「プロジェクトガンフフロンティア2」と銘打たれている。
- ダイノレックス -「プロジェクトガンフロンティア3」にあたる作品。
- ダライアス外伝
- Gダライアス
- ボーダーダウン
- ガイアシード
- ZUNTATA
- Born to be free
- 仙波隆綱
■GOOD BYE
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